研究用アテロコラーゲンー臨床応用へつなげる基礎研究にー

アテロコラーゲンとは

 コラーゲンは真皮や靱帯、骨などを構成する細胞外マトリクスの一つであり、ヒトでは全タンパク質の約30%を占めます。最も大に存在するコラーゲンはI型コラーゲンです。その分子量は約 300kDaで、3本のポリペプチド鎖で形成されています。
 分子構造は2本のa1鎖と1本のa2鎖が形成する右巻き三重らせん領域とN末端とC末端にあるテロ ペプチド領域(非らせん領域)から成ります。三重らせん領域は生物種間において遺伝的な保存性が 高いことから、生体内にいれたときは低い抗原性を示しますが、テロペプチド領域は高い抗原性を 示します。このテロペプチド領域をプロテアーゼによって切断除去したものをアテロコラーゲンと いいます。アテロコラーゲンはコラーゲンと同じ性質を示します。その低抗原性を利用して、当社では医療機器にも使用しています。

 一方で、コラーゲンやアテロコラーゲンを熱変性させたもの(三重らせん構造を解いたもの)はゼラチンといいます。ゼラチンはランダムコイル構造を呈した1本のポリペプチド鎖で、高い抗原性を示します。
 さらにこのゼラチンを強酸や強アルカリ、酵素などで加水分解して得られたペプチドを加水分解 コラーゲンといいます。ゼラチンや加水分解コラーゲンは分子構造の違いなどから、コラーゲンとは全く異なる性質を示します。