日本組織培養学会第93回大会にて学術発表Atelo Series

AteloSeriesCollagen for Cell Culture and RNAi Techonology

お知らせ

日本組織培養学会 第93回大会にて学術発表

2021年08月24日

下記の要項にて学術発表を行います。

発表日時 2021年9月3日(金)14:10-15:00
会場 広島大学霞キャンパス(オンサイト/オンラインの併用)
演題

オルガノイド培養でのアテロコラーゲンゲルの利点
(ポスター番号:P-2)

著者

株式会社高研 研究所 久田 美咲、池田 薫子、藤本 一朗

要旨

オルガノイド培養は生体内の組織または臓器に類似した3次元培養システムである。生体と同様に多様な細胞群から構成され、解剖学的・機能的に生体内に存在する器官に近い特徴を示すことから、幅広い分野での応用が期待されており、機能向上と安定した培養方法の検討が多く進められている。現在、オルガノイド培養に主に使用されているマトリゲルはロット間差があるため、再現性のある実験を行うことができない、成分が不明瞭であると言われており(Monya Baker,  Nat. Methods, 2011)、臨床応用には至っていない。そこで我々は成分が明瞭で、臨床応用実績のあるコラーゲンを用いて、より生体に近いオルガノイドの培養を試みた。

コラーゲンは三重らせん構造を形成した生体高分子であり、その中でも抗原性が存在するテロペプチド部位を除去したものがアテロコラーゲンである。本研究では、まずアテロコラーゲンゲルを用いて小腸オルガノイドの培養を試みたところ、アテロコラーゲンゲルで培養したものは汎用されているマトリゲルで培養したものと比べて同等の遺伝子発現と機能があることを確認した。さらにアテロコラーゲンゲルにて培養したオルガノイドに分化促進因子を添加することで、遺伝子発現を生体小腸に近づけることが可能であった。

さらに他種のオルガノイドでも培養可能であるか調査するため、乳腺オルガノイドのアテロコラーゲンゲル内での培養を試みた。その結果、乳腺オルガノイド特有のミルクタンパク質の遺伝子発現が確認でき、培養及び分化が可能であることが示された。

以上のことから、アテロコラーゲンゲルでは種々のオルガノイドの培養が可能であることが示唆された。そのため、アテロコラーゲンで培養したオルガノイドは、培養基質の成分が明瞭、低抗原性で生体へ移植可能なアテロコラーゲンを用いており、創薬開発や再生医療等の幅広い分野にて応用が期待できる。


発表日時 2021年9月3日(金)14:10-15:00
会場 広島大学霞キャンパス(オンサイト/オンラインの併用)
演題

高透過性アテロコラーゲン線維化膜セルカルチャーインサートの有用性(ポスター番号:P-3)

著者

株式会社高研 研究所 東 大樹、藤本 一朗

要旨

セルカルチャーインサートは膜を介した異種細胞間の相互作用解析やホルモン・成長因子などの薬物輸送研究の培養基材として使用される。細胞外マトリクス(ECM)の主成分であるコラーゲンを多孔メンブレンにコーティングした製品に加え、近年ではコラーゲン製のメンブレンなど生体内環境を再現するためにECMの機能を模倣した細胞培養材料を開発する動きが高まっている。そこで我々は、生体内のコラーゲンの微細構造に着目し、線維化させたアテロコラーゲンからなるメンブレンを作製、これを組み込んだセルカルチャーインサートを開発した。アテロコラーゲン線維化膜 線維化膜 は、ランダムに配向したコラーゲン線維間に細孔を有しており、最大 660 kDaの高分子タンパク質も透過する特性を示した。

今回、MC3T3-E1細胞(マウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞)を骨分化誘導した際の液性因子にて、線維化膜の透過性を市販品と比較した。また、線維化膜上でMDCK細胞(イヌ腎臓由来上皮細胞)を培養して形成させた単層にて、上皮/内皮間のバリア機能について評価した。

本研究では、比較対象として高分子樹脂製多孔メンブレン(製品A)、コラーゲンコート済み高分子樹脂製多孔メンブレン(製品B)、コラーゲン製メンブレン(製品C)を用意した。それぞれの表面をSEMで観察したところ、特に多孔メンブレンをコラーゲンコートしたものは多くの孔の貫通性が失われている様子が確認された。

細胞培養時における透過性を評価するため、リザーバーに添加した液性因子によって膜上のMC3T3-E1細胞が骨分化誘導されるか検証した。線維化膜および製品A、Cでは骨分化マーカーの遺伝子発現が認められた。さらに線維化膜上で分化誘導させた群は他の群よりもOsteocalcinの発現が有意に高かった。また、リザーバーに含まれるMC3T3-E1細胞の分泌因子を定量したところ、線維化膜では培養24日目も検出可能であり、比較対象よりも長期にわたって透過性を維持していた。

また、線維化膜上で形成させたMDCK細胞単層は、細胞間でタイトジャンクションのマーカータンパク質が発現し、一貫して高い電気抵抗値を維持することが示された。

以上の結果から、線維化膜は細胞間相互作用の解析や薬物輸送研究に有用な細胞培養担体であることが示唆された。それに加え、線維化膜は生体適合性の高いアテロコラーゲンのみで構成されているため、再生医療への応用も期待できる。