AteloSeriesCollagen for Cell Culture and RNAi Techonology

学会・展示会情報

【学術発表】<終了>第40回日本バイオマテリアル学会大会(2018/11/13 神戸 神戸国際会議場)

2018年11月12日

下記の要項にて学術発表を行います。

演題番号 2P-071
発表日時 11月13日(火)13:00~14:00
会場 神戸国際会議場
演題 アテロコラーゲン膜セルカルチャーインサートの特性評価
著者 株式会社高研 研究所 東 大樹、勢村 加容子、藤本 一朗
要旨

【緒言】新たな細胞培養の研究分野において、細胞外マトリクス(ECM)の機能を模倣し、生体内環境を再現できる細胞培養材料が求められている。その中でコラーゲンはECMの主成分であり、生体適合性、生分解性に優れたバイオマテリアルである。特に、アテロコラーゲンはコラーゲンのテロペプチド部位を除去して抗原性を低減し安全性を高めた物質である。また近年、培養器具としてポリカーボネート製セルカルチャーインサートを用いることにより、膜を通した細胞間相互作用やホルモン・成長因子等の分子の薬物輸送研究も進んできた。我々はアテロコラーゲンを線維化し膜状に加工したコラーゲン膜のセルカルチャーインサートを作製し、膜構造、物質透過性、細胞分布、長期培養および細胞形態を評価したので報告する。

【実験】アテロコラーゲン中性溶液を枠に流し込み、線維化、乾燥、架橋、脱塩・脱水、乾燥工程にてアテロコラーゲン膜を得た。物性評価として、膜表面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、評価物質(4~660 kDa)を膜上から下へと透過させ、物質透過性を評価した。また、複数種の細胞を膜上で培養し、染色後、細胞接着を確認した。さらに、MC3T3-E1(マウス骨芽細胞)の長期培養による細胞形態の変化を観察した。

【結果】作製したアテロコラーゲン膜はコラーゲン線維がランダムに配向した構造であり、隣接する線維間には細孔が認められた。また透過性試験の結果より、660 kDaでも48h後で70%以上の高い膜透過性を示した。そして、細胞は膜全体に生着し、良好な生育を示し、長期培養も可能であった。

【結論】作製したアテロコラーゲン膜は、ホルモンなどの高分子でも膜透過性が高く、細胞間相互作用の解析に有利な細胞培養材料であることが期待される。