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学会・展示会情報

【学術発表】日本バイオマテリアル学会シンポジウム2024(2024/10/28~10/29 宮城 仙台国際センター)

2024年10月22日

下記の要項にて学術発表を行います。

発表日時

2024年10月28日(月)13:10-13:50

会場 仙台国際センター
演題

細胞培養担体を目指した強靭なアテロコラーゲンダブルネットワークゲルの開発

ポスター番号:1P-029

著者

株式会社高研 研究所 露久保 淳、窪田 陸、藤本 一朗

 

【緒言】細胞に周期的な力学刺激を与える伸展培養は、細胞の分化制御や培養担体の力学物性向上に寄与することが知られている。ダブルネットワーク(DN)ゲルといった高強度ゲルは、従来のゲル担体よりも細胞に大きな力学刺激を与えることができるため、伸展培養担体の有望な材料として期待されている。我々はこれまでに、低抗原性のアテロコラーゲン(AC)とポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm)を組み合わせたDNゲルを開発してきたが、非細胞接着性が課題であった。そこでPDMAAmの代替として、細胞接着性を持ちつつPDMAAmと同等の柔軟性を持つポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)(PDEAAm)を使用し、DNゲルの細胞接着性向上を図った。本研究ではPDEAAmとACから成るDNゲルを開発し、力学物性と細胞接着性を確認した。

【実験】ウシ真皮由来のAC溶液を、エポキシ系架橋剤のエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)と混合し、2枚のガラス板間(間隔: 1 mm)に充填後、30℃で24時間加熱し架橋反応を進行させた。形成したACゲルを水洗後、N,N-ジエチルアクリルアミド(DEAAm)と架橋剤のN,N-メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、光ラジカル発生剤を含む水溶液に一晩浸漬した。次に、365 nmの紫外光を照射して、DEAAmの光架橋反応を進行させた。形成したDNゲルの力学物性は引張試験により評価し、応力-ひずみ曲線から各力学物性値を算出した。また、ヒト皮膚由来の線維芽細胞NB1RGBをゲル表面にコンフルエントとなるように播種し、7日間の細胞接着を確認した。

【結果と考察】MBAA濃度を0.01 ~ 0.3 mol%(DEAAm比)の範囲で変化させたDNゲルを作製し、力学物性を評価した結果、全てのMBAA濃度において、DNゲルはACゲルよりも破断応力とヤング率、靭性が向上し、DNゲルのヤング率はMBAA濃度に依存しなかった。特にMBAA: 0.1 mol%の時に破断応力と破断ひずみ、靭性が最も高く、ACゲルと比較して70倍以上の靭性を有する強靭なゲルを開発できた。さらに、ACゲルと同様にNB1RGBがDNゲル表面に接着し、7日間維持可能なことを確認した。本研究で開発したゲルを伸展培養担体に使用すれば、従来のゲル担体よりも接着細胞に大きな力学刺激を与えることができ、強靭な生体組織に匹敵する材料開発に繋がることが期待できる。