学会・展示会情報
【学術発表】<終了>第41回日本バイオマテリアル学会大会(2019/11/25 茨城 つくば国際会議場)
2019年11月12日
下記の要項にて学術発表を行います。
セッション | ポスター21「組織工学(組織化1)」P-01-110 |
発表日時 | 11月25日(月)11:15~12:00 |
会場 | つくば国際会議場 |
演題 |
アテロコラーゲン膜セルカルチャーインサートの骨分化誘導による特性評価 |
著者 |
株式会社高研 研究所 東 大樹、勢村 加容子、藤本 一朗 |
要旨 |
【緒言】セルカルチャーインサートは、膜を介した細胞間相互作用やホルモン、成長因子等の薬物輸送研究に用いられている。このような培養担体において、細胞外マトリクス(ECM)の機能を模倣し、生体内環境を再現できる細胞培養材料を開発する動きが高まっている。コラーゲンはECMの主成分であり、特にアテロコラーゲンはコラーゲンのテロペプチド部位を除去し安全性を高めた物質である。これまでに我々は、アテロコラーゲンを線維化し膜状に加工したセルカルチャーインサートを開発した。線維化アテロコラーゲン膜は、無細胞系において高い膜透過性を示した。そこで今回は、膜上で細胞を培養した際の膜透過性について評価したので報告する。 【実験】アテロコラーゲン中性溶液を成型容器に流し、線維化、乾燥、架橋、脱塩・脱水、乾燥を行い、線維化アテロコラーゲン膜を作製した。膜上にMC3T3-E1を播種し、膜下に骨分化誘導剤としてアスコルビン酸、β-グリセロリン酸(各0.2 kDa)、BMP-2(26 kDa)を添加後、28日間培養した。MC3T3-E1の骨分化の程度を骨分化マーカーの発現(qPCR)、分泌因子の定量(ELISA)、石灰化(アリザリンレッド染色)にて評価した。 【結果】誘導剤無添加群(NC)と比較して、膜下にのみ誘導剤を添加した群(Sample:S)は、膜上下に誘導剤を添加した群(PC)と同等に骨分化マーカーの遺伝子発現量が増加した。また、骨芽細胞が骨分化の進行に伴って分泌するオステオカルシン(5.9 kDa)の検出を試みたところ、S群とPC群でともに培養10日目で膜上下の培地から検出された。以上より、膜下に添加した誘導剤が膜を透過し、膜上のMC3T3-E1に作用したこと、および分化したMC3T3-E1が分泌した因子が膜下に透過したことが明らかとなった。 【結論】アテロコラーゲン膜セルカルチャーインサートは、細胞培養時においても、膜上下間での物質の透過が確認され、細胞間相互作用の解析や薬物輸送研究に有用な細胞培養担体であることが期待される。 |