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★臨床用ヒトiPS細胞の製造へ★アテロコラーゲンで3D培養 -コーティングとマイクロキャリア-
2025年02月12日
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★臨床用ヒトiPS細胞の製造へ★アテロコラーゲンで3D培養
-コーティングとマイクロキャリア-
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2006年にマウス、2007年にヒトでの樹立報告がされてから、日々研究が進むiPS細胞。現在も臨床応用に向けた様々な取り組みが進められており、その一つが京都大学iPS細胞研究財団にて進められている「my iPS®プロジェクト」です。
今回は、そのmy iPS®プロジェクトに関連する、3D培養環境下でのiPS細胞の樹立や分化誘導プロセスについての論文をご紹介いたします。
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再生医療、特に自家細胞を用いた再生医療と言えば、細胞製造にコストのかかる高額な治療だと考えている方も多いのではないでしょうか。my iPS®プロジェクトでは、閉鎖型自動培養装置とその3D培養プロセスを構築すること等で、iPS細胞の樹立や増殖、分化誘導のコスト削減を行い、自家iPS細胞を100万円程度で研究機関や企業に提供することを目指しています。
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<< アテロコラーゲンを用いたiPS細胞の未分化維持培養 >>
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iMatrix511-coatをコントロール群とした時、アテロコラーゲンコート群やアテロコラーゲンビーズ(コラーゲン ミクロスフェア)群においても、多能性マーカーの発現が大きく変動することはなく、iPS細胞の未分化状態を維持できました。
また、別の実験においては、アテロコラーゲンの各群が外胚葉や内胚葉への分化誘導にも影響しないことが示されています。尚、ミクロスフェア群では、中胚葉のマーカーであるTの発現量が唯一4倍以上変動しましたが、iMatrix含有培地の併用により、発現亢進を抑制できることも確認されました。
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<< アテロコラーゲンによるiPS細胞のfilopodia形成促進 >>
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ところで、アテロコラーゲンがコーティングされたプレート上でiPS細胞を培養したところ、非常に長く伸びたfilopodiaの形成が観察されました。そこで、コラーゲン受容体であるインテグリンα2β1の阻害剤や抗体を添加したところ、filopodiaの形成抑制やプレートに接着しないiPS細胞の増加が起こりました。
よって、インテグリンα2β1を介したアテロコラーゲンへの接着が、iPS細胞の自己複製を促進していると示唆されました。
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次に、2D培養用に最適化されたステルス型RNAベクターが、3D培養環境下におけるiPS細胞の樹立にも適応可能かどうかを評価しました。その結果、光学顕微鏡下での観察と蛍光顕微鏡下でのTRA-1-60陽性細胞の観察のいずれにおいても、iPS細胞のコロニー形成が確認されました。
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<< アテロコラーゲンが中空糸膜へのiPS細胞の接着を改善 >>
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最後に、閉鎖型自動培養装置とアテロコラーゲンの組み合わせ使用について検証がされました。iPS細胞は、ポリエーテルサルホン(PES)製の中空糸膜には接着しませんが、アテロコラーゲンをコーティングすることにより、接着性が改善するだけでなく、未分化状態の強まる傾向が認められました。
また、ミクロスフェア上に播種されたiPS細胞を閉鎖容器内で培養し、分化誘導したところ、三胚葉への分化能を持つことが示されたことから、臨床用のiPS細胞の樹立だけでなく、治療用の細胞の分化誘導にも使用可能なことが示唆されました。
出典:Mol Ther Methods Clin Dev. 2024 Jul 20;32(3):101302.
Created by modifying figure 1-4. ©Nakashima Y., et al. 2024. Licensed under CC BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
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<< 上記論文で使用された2つのアテロコラーゲン製品 >>
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コラーゲン酸性溶液I-PC 5mg/mL(型番IPC-50)
iPS細胞の未分化維持培養や分化誘導時のプレートに加え、閉鎖型自動培養装置の中空糸膜などのコーティングに使用されています。
コラーゲン ミクロスフェア(型番MIC-00)
iPS細胞の樹立や分化誘導、閉鎖型培養容器内でのiPS細胞の分化誘導に使用されています。
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<< 展示会出展案内 >>
3月は2つの展示会に出展予定です。ぜひ会場にて各種アテロコラーゲン製品の実物をご覧ください。
1. APPW2025(日本解剖学会、日本生理学会、日本薬理学会の合同大会)
会 期:3月17日(月)~19日(水)
会 場:幕張メッセ 国際展示場展示ホール8
ブース:未定
2. 第24回日本再生医療学会総会
会 期:3月20(木)~22日(土)
会 場:パシフィコ横浜ノース
ブース:未定
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