AteloSeriesCollagen for Cell Culture and RNAi Techonology

学会・展示会情報

【学術発表】<終了>第39回日本DDS学会学術集会(2023/7/27~28 千葉 幕張メッセ)

2023年08月02日

下記の要項にて学術発表を行います。

発表日時

2023年7月28日(金) 10:55-11:50

会場 幕張メッセ国際会議場(現地開催)
演題

アテロコラーゲンの核酸デリバリー機能を向上させる機能性ペプチドの開発(ポスター番号:P-B-08)

著者

株式会社高研 研究所  井手 賢司、藤本 一朗

要旨

【緒言】近年、ドラッグデリバリーシステム(DDS)に関する研究は盛んに行われているが、未だ多くの課題が残っている。我々は、生体親和性の高いアテロコラーゲン(AC)を核酸デリバリーの担体としたAteloGene®を製造しているが、さらなるRNAiの向上を指向し、コラーゲン結合ドメイン(CBD)に細胞膜透過性ペプチドなど(TAT, PenetratinおよびS19)が連結した機能性ペプチドの開発を行ってきた。本学会では、AC, siRNAおよび機能性ペプチドの結合状態、および機能性ペプチドによるAC/siRNA複合体のRNAiの変化の評価について報告した。

【実験】機能性ペプチド(CBD-S19-TATおよびCBD-S19-Penetratin)をBL21(DE3)株を用いた大腸菌発現系で合成し、Niアフィニティーカラム、限外ろ過法で精製した。機能性ペプチドの同定は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)および富士フィルム和光のアミノ酸分析にて行った。ACおよびsiRNAの結合状態は、プルダウンアッセイおよびNativeアガロースゲル電気泳動で評価した。また、平面培養した緑蛍光タンパク質eGFP発現ヒト肝がん細胞HepG2-eGFPへAC/siRNA複合体およびAC/siRNA/機能性ペプチドの三元複合体を投与して48時間培養した(それぞれ終濃度はAC: 0.01%, siRNA: 200 nM, 機能性ペプチド:5 or 10 µM)。eGFPの蛍光強度は、蛍光顕微鏡とフローサイトメーターで評価した。

【結果と考察】調製した機能性ペプチドは、SDS-PAGEとアミノ酸分析からデザイン通りであることを確認した。また、プルダウンアッセイ及びNativeアガロースゲル電気泳動では、AC, siRNAおよび機能性ペプチドが混合するだけでAC/siRNA複合体および三元複合体を形成することが示唆された。これら複合体をHepG2-eGFPへ投与した結果、eGFPの蛍光は減少し、三元複合体ではそれが顕著であった(AC/siRNA複合体では約45%, 三元複合体:CBD-S19-TATでは約85%, CBD-S19-Penetratinでは約90%減少した)。また、三元複合体の群ではsiRNAの濃度を10-200 nMの範囲で同評価を実施したところ、siRNAに対して濃度依存的にeGFPの蛍光が減少していた。これらの結果から、機能性ペプチドはAC/siRNA複合体細胞内導入効率を向上させ、そのRNAiの増強を誘導することを証明した。三元複合体の調製が簡易的であることからも、我々は機能性ペプチドが核酸医薬品のDDSの発展に貢献していくと期待している。