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2018年04月24日
終末糖化産物(AGEs)を生成するタンパク質の糖化
終末糖化産物(AGEs)とメイラード反応
還元糖によるタンパク質等の非酵素的な糖化反応(メイラード反応)の結果生じる最終産物を総じて、終末糖化産物(Advanced glycation end products:AGEs)と呼びます。
メイラード反応は可逆的な初期反応と、不可逆的な中期および後期反応に分けられます。初期反応は、グルコース等の還元糖のカルボニル基とタンパク質等のアミノ基が反応してシッフ基を形成し、イミンの二重結合が転移してアマドリ化合物が形成される過程です。次いで、アマドリ化合物からアミノ基がはずれ、脱水などによりα-ジカルボニル化合物が生じる中期反応、α-ジカルボニル化合物からAGEsが生成され、同時に褐色物質であるメラノイジンの生成も起こる過程が後期反応になります。身近なところでは、調理された食品の焼き色、醤油や味噌などの茶褐色もメイラード反応による褐変です。
AGEsが生体に与える影響
これまでに報告されている生体内の主なAGEsとして、蛍光性かつ架橋性を持つペントシジン、非蛍光性かつ架橋性のメチルグリオキサールリジンダイマー(MOLD)、非蛍光性かつ非架橋性のカルボキシメチルリジン(CML)やピラリンが挙げられます。これらのAGEsに関する研究は、皮膚や糖尿病及びその合併症、脳、呼吸器などで進んでいるようです。例えば、皮膚を構成する主要な細胞外マトリクスであるコラーゲンは、加齢と共に糖化が進むことで伸展性を失い、結果として皮膚のしわやたるみの形成につながるとされています。また、AGEとなったコラーゲンは、活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)を生成し、骨細胞死や骨密度低下を引き起こすことが知られています。その他にも特発性肺線維症患者から得られた検体では、AGEs量の増加が認められ、特に細胞外マトリクスや肺胞内腔側の肺胞上皮細胞でのAGEsの蓄積も認められています。
糖化・抗糖化の評価
前述の様にAGEsの特徴として、褐変や蛍光性があるため、それらを用いた糖化および抗糖化の評価を行うことが可能です。より簡便に評価が行えるよう、還元糖とコラーゲンゲルやエラスチンなどを用いた蛍光評価によるアッセイキットが販売されていたり、受託解析サービスが提供されていたりするようです。ちなみに、当社のコラーゲンスポンジ マイティーは高濃度のコラーゲンから製造された白いスポンジであり、in vitroでの還元糖によるコラーゲンの褐変の観察にも使用されています。一方、ヒトの皮膚中の蛍光を測定することにより、皮膚に含まれるAGEs量を非侵襲的に評価することも可能になっており、皮膚生検を用いて評価されたAGEs量と相関することが報告されています。
AGEsの受容体(RAGE)
AGEsの受容体として同定されたReceptor for advanced glycation end products(RAGE)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する一回膜貫通型の膜タンパク質です。これまでの報告により、RAGEのリガンドはAGEsだけでないことが知られており、例えばがんの転移や炎症に関連するHigh mobility group B1(HMGB1)や酸化ストレスに関わるAdvanced oxidation protein products(AOPP)、アルツハイマー病に関わっているアミロイドβなどが挙げられます。その他にもRAGEは糖尿病や感染症との関連も報告されており、様々な生理的役割を有していると考えられます。
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By Robin Müller [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], from Wikimedia Commons