AteloSeriesCollagen for Cell Culture and RNAi Techonology

メールニュース

軟骨の再生医療研究にもアテロコラーゲン溶液

2019年06月11日

今回のメールニュースでは、ヒト軟骨細胞を用いた再生医療研究にアテロコラーゲン溶液が使用された論文をご紹介いたします。

ペリオスチンが再生軟骨組織の成熟と形状維持に貢献

【論文情報】
Periostin contributes to the maturation and shape retention of tissue-engineered cartilage. Inaki R, Fujihara Y, Kudo A, Misawa M, Hikita A, Takato T, Hoshi K. Sci Rep. 2018 Jul 25;8(1):11210. PMID: 30046126

【概要】
自家軟骨細胞移植を含む軟骨の再生医療は、膝関節の軟骨治療に使われており、顔面領域では隆鼻術に適応されています。

しかし、溶液やゲルに懸濁された軟骨細胞を組織工学に用いると、形成された軟骨の構造維持が難しいことがわかっています。

一方、in vivoに移植した軟骨の成熟の際には、移植組織周囲と移植組織内の間質の結合組織が、移植組織の再生に適した環境を与えます。

それらの結合組織はコラーゲンだけではなく、ペリオスチンのようなマトリックス細胞タンパク質から成り立っています。

そこで、筆者らは結合組織内におけるペリオスチンの発現が、結合組織内のコラーゲン構造の強化により、軟骨の再生や成熟を促進させるとの仮説を立てて、実験を行いました。

筆者らが、コラーゲンゲルの形成に与えるペリオスチンの影響を評価したところ、非添加群と比べてペリオスチン添加群で濃度依存的なゲル形状の維持を示しました。

また、TEMによる観察では、ペリオスチンがコラーゲン分子の集合を促進し、コラーゲン線維の会合を促すことが観察されました。

次に、ペリオスチンを混合して作製したコラーゲンゲル内で軟骨細胞を三次元培養すると、グルコサミノグリカンやType IIコラー ゲンの遺伝子およびタンパク質発現量が増加しました。

ちなみに、ペリオスチンを混合して作製したヒアルロン酸ゲル内では、軟骨成熟への影響は認められませんでした。

その後、ペリオスチン欠損マウスへ組織工学的に作製した軟骨を移植したところ、コラーゲン単独群では移植組織が不均一な形状になったのに対し、ペリオスチン+コラーゲン群では移植組織の形状が維持されました。

尚、ビーグル犬の自家軟骨細胞からなる組織の移植実験では、ペリオスチン+コラーゲン群では、軟骨組織の成熟化が促進され、グルコサミノグリカンやType IIコラーゲンのタンパク質発現量が増加しました。

三次元培養や共培養、コーティングにも使える多用途溶液

製品名:
・コラーゲン酸性溶液I-PC 5mg/mL(型番:IPC-50)

関連製品