In vitro三次元組織モデルがin vivo実験を置き換える? | 株式会社高研

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2019年06月07日

In vitro三次元組織モデルがin vivo実験を置き換える?

in vitro三次元培養モデル

三次元培養(3D培養)や共培養によるin vitro三次元組織モデル作製

近年、iPS細胞などの幹細胞培養技術の進歩やin vivo実験の3Rs(Replacement、Reduction、Refinement)の推進などを背景に、より生体内に近い細胞培養の方法として、高さ方向に厚みを持たせた三次元培養(3D培養)や2種類以上の細胞を同時に培養する共培養に注目が集まっており、これらの培養方法がin vivo実験に代わる手法として期待されています。そうは言っても、in vitro三次元組織モデルの多くはまだ発展途上であり、特定の限られた試験項目についてin vivo実験の置き換えが可能になりつつある段階のため、医工連携などの学際的な研究による更なる技術革新が望まれます。

上市済みのin vitro三次元組織モデル

欧州での化粧品に関するin vivo実験の規制に関する指令が2003年に公布されたのを皮切りに、in vivo実験代替法として培養細胞からなる三次元組織モデルを用いた安全性試験の需要が伸びており、既に上市されている製品の中でも皮膚モデルや角膜モデルが多く見受けられます。その他にも口腔モデルや気道モデル、肺胞モデル、小腸モデル、膀胱モデル、膣モデルなどが市販されていますので、以下にご紹介します。

メーカー 上市済みのin vitro三次元組織モデルの概要
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社 ・LabCyte EPI-MODEL(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養された角化細胞(ケラチノサイト)からなるモデル。皮膚刺激性試験の方法としてOECDテストガイドライン(TG439)に収載。その他にも皮膚透過性試験、経皮吸収試験等にも使用可能。尚、同モデル作製用のキットも別売。

・LabCyte CORNEA-MODEL(角膜モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養された角膜上皮細胞からなるモデル。眼刺激性試験の方法としてOECDテストガイドライン(TG492)に収載。
ローマン工業社 LSE-high、LSE-high 角層幼若モデル(皮膚モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養かつ共培養された角化細胞と線維芽細胞からなるモデルを販売。皮膚透過性試験に使用可能。尚、真皮モデルも販売。
オーガンテクノロジーズ社 Advanced Skin(皮膚モデル):

天然のヒト皮膚と同じ表皮層と真皮層からなるモデル。安全性試験だけでなく、機能性評価にも使用可能。尚、毛包や皮脂腺などの皮膚付属器を合わせ持つ次世代皮膚モデルも開発中。
MatTek社
(国内販売元:倉敷紡績社)
EpiDerm(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された角化細胞からなるモデル。皮膚刺激性試験や皮膚腐食性試験方法としてOECDテストガイドラインに収載(TG439 、TG431)。皮膚透過性試験や光毒性試験等にも使用可能。動画による製品使用方法解説があり、オンラインセミナーのように質問やコメントをすることができる。

MelanoDerm(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養かつ共培養された角化細胞とメラニン細胞(メラノサイト)からなるモデル。美白試験に使用可能。

EpiDermFT(皮膚モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養かつ共培養された角化細胞と線維芽細胞からなるモデル。抗老化試験や創傷治癒研究等に使用可能。

EpiOral(口腔モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された口腔上皮細胞からなるモデル。口腔粘膜刺激性試験や口腔粘膜透過性試験に使用可能。

EpiOcular(角膜モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養された上皮細胞からなるモデル。眼刺激性試験の方法としてOECDテストガイドライン(TG492)に収載。尚、MatTek社では、角膜上皮細胞からなる角膜モデルも販売。

その他:

MatTek社では、歯肉モデルや気道モデル、小腸モデル、膣モデルに加え、メラノーマモデルや乾癬などの疾患モデルも販売。
Skinethic社
(国内販売元:ニコダームリサーチ社)
EpiSkin(表皮モデル):

コラーゲン膜上に三次元培養された角化細胞からなるモデル。皮膚刺激性試験や皮膚腐食性試験方法としてOECDテストガイドライン(TG439 、TG431)に収載。光毒性試験や皮膚透過性試験等にも使用可能。

SkinEthic RHE(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された角化細胞からなるモデル。皮膚刺激性試験や皮膚腐食性試験方法としてOECDテストガイドライン(TG439 、TG431)に収載。光毒性試験や皮膚透過性試験等にも使用可能。

SkinEthic RHPE(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養かつ共培養された角化細胞とメラニン細胞からなるモデル。美白試験や光毒性試験等に使用可能。

T-Skin(皮膚モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養かつ共培養された角化細胞と線維芽細胞からなるモデル。光毒性試験や皮膚透過性試験等に使用可能。

SkinEthic HCE(角膜モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養された角膜上皮細胞からなるモデル。眼刺激性試験の方法としてOECDテストガイドライン(TG492)に収載。細菌の付着性試験等にも使用可能。

その他:

口腔モデル、歯肉モデル、膣モデルも販売。
CellSystems Biotechnologie Vertrieb社 epiCS(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された角化細胞からなるモデル。皮膚腐食性試験方法としてOECDテストガイドライン(TG431)に収載。また、皮膚刺激性試験方法としてOECDテストガイドラインTG439に収載予定。

epiCS-M(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養かつ共培養された角化細胞とメラニン細胞からなるモデル。美白試験に使用可能。
Sterlab社 Skin+(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された角化細胞からなるモデル。皮膚刺激性試験方法としてOECDテストガイドライン(TG439)に収載予定。皮膚腐食性試験にも使用可能。

Human Pigmented Epidermis(表皮モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養かつ共培養された角化細胞とメラニン細胞からなるモデル。美白試験に使用可能。

Human Full Thickness(皮膚モデル):

セルカルチャーインサート上で三次元培養か共培養された角化細胞と線維芽細胞からなるモデル。

Human Oral Epithelium(口腔モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された口腔上皮細胞からなるモデル。安全性試験および機能性評価に使用可能。

Human Gingival Epithelium(歯肉モデル):

セルカルチャーインサート上に三次元培養された歯肉上皮細胞からなるモデル。安全性試験および機能性評価に使用可能。

その他:

真皮モデルや肺胞モデル、膣モデル、膀胱モデルに加え、乾癬の疾患モデルも販売。

注:上記の表は当社が独自にまとめたものであり、最新情報が反映されていない可能性があることご了承ください。

コラーゲンを用いた各種in vitro三次元組織モデル

上掲の様に上市済みのin vitro三次元組織モデルは、セルカルチャーインサートをスキャフォールド(足場)として細胞を三次元的に培養するものが多いのですが、コラーゲンゲルやスポンジ、透過性膜を用いたモデル作製論文も多数発表されています。例えば、血管モデルであれば血管平滑筋細胞を含んだコラーゲンゲルを作製し、その上に血管内皮細胞を播種したり、がん微小環境モデルであればコラーゲン透過性膜の表面にがん細胞、裏面に線維芽細胞を播種したりと、2種類以上の細胞種の組み合わせで、様々なin vitro三次元組織モデルが構築されています。これらの論文発表からは、より生体内に近いin vitro実験が求められていると窺え、今後も多様なモデル系が確立されていくと予想されます。

コラーゲンを用いた各種in vitro三次元組織モデル

Silhouettes of man and woman Free Vector created by freepik – www.freepik.com

また、近年は組織を人為的に再構築したオルガノイドの作製技術が確立されつつあり、皮膚器官系オルガノイドの作製にコラーゲンゲルが使用される事例も出てきています(ここで言うオルガノイドとは、特徴的な器官機能を持つ複数種類の細胞群からなる組織体のことで、細胞を単に凝集させたスフェロイドとは異なる)。

まとめ

iPS細胞などの幹細胞培養や三次元培養(3D培養)、共培養等の技術進歩により、実用化レベルに達したin vitro三次元組織モデルが増えており、コラーゲンスキャフォールドの使用の有無にかかわらず今後も様々な組織モデルが市場に送り出されることが予想されます。

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