AteloSeriesCollagen for Cell Culture and RNAi Techonology

お役立ち情報

2020年12月10日

広がる可能性。「3D培養時代」にアテロコラーゲンを!

(本記事は日本の研究.comに掲載された記事広告を一部改変して掲載したものです)

アテロコラーゲンの高研

1959年創業の株式会社高研は、口腔外科医だった創業者秋山太一郎によるがんの手術後欠損を外装プロテーゼで補う研究から始まった。そこからシリコーンなどの高分子の研究開発が始まり、メディカルプラスチック事業や教育用医療モデル事業へと拡大した。同社の事業のもう一つの柱が、二代目の社長宮田暉雄により確立されたコラーゲン事業である。I型コラーゲンのテロペプチド領域をプロテアーゼによって切断除去した「アテロコラーゲン」を日本で初めて医療分野で製品化し、化粧品と研究用試薬の事業にも展開させてきた。

近年、iPS細胞など幹細胞培養技術の進歩を背景に、幹細胞培養や三次元培養(3D培養)、共培養などに注目が集まっており、細胞移植など再生医療分野でも幅広いニーズが生まれている。高研では医療機器として30年以上の実績を持つ高品質のアテロコラーゲンと同じ原料を使った細胞培養・移植用担体「AteloCell®」、in vivo siRNA/miRNA導入試薬「AteloGene®」をラインナップしている。いま、研究の最前線で役立つ製品の魅力とその背景を、営業、研究、開発、製造各部門の方々に伺った。

臨床応用を視野に入れた基礎研究に使えるAteloCell®シリーズ

── 高研ならではのアテロコラーゲン技術、サービスとは何でしょうか。

前田:弊社は、元々アテロコラーゲン製の医療機器を製造する企業ですので、基礎研究から臨床応用までを一気通貫にご支援可能です。
前身のCellgenブランド時代も含めると、AteloCell®は今で言うところの三次元培養も含む組織培養用製品として30年以上作られてきましたが、三次元培養自体がマイナーな存在だったこともあり、主に先進的な再生医療研究に従事する研究者が用いるニッチな存在でした。それがiPS細胞以降、ここ数年で急成長を遂げています。再生医療やそれ以外の分野でも注目され、ようやく活躍できるステージに来たと思っております。弊社の強みはアテロコラーゲン自体の加工技術ですね。スポンジという形状一つとっても、硬さ、大きさ、形状など多様に用意しております。

佐藤:顧客要望に応じた試作対応もしております。アテロコラーゲン自体を操作することはもちろん、加工のノウハウを多岐に渡って蓄積しています。たとえば、「コラーゲンスポンジ マイティー」では、スポンジの強度を出すために濃度やpHなどアテロコラーゲンそのものの条件を何度も試し、架橋方法も何種類も試し、条件を設定し直し…というトライ&エラーを繰り返して製品化しました。試作を重ねるのはハンドメイドの工程で、微妙な数値をコントロールしながら作り上げていきます。
コラーゲンスポンジ マイティー
大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座の中田研教授の依頼を受け、滑膜由来細胞の力学刺激培養実験(in vitro 関節炎モデル)のために開発されました。最大40kPaの圧縮荷重でも崩壊しない強度があるので、メカニカルストレス研究用の各種力学培養にも使え、細胞移植も可能です。» 詳細を見る

 

佐藤:三次元培養、移植用スキャフォールドとして軟骨等をターゲットにした製品ですが、コラーゲンは生体内の全タンパク質の約30%を占めると言われており、人体のあらゆる臓器の再生医療研究に使えると考えています。各臓器に合わせた適切な形状や強度など、お客様の目的に応じたスキャフォールドを作ることにも挑戦していきたいです。

前田:弊社は、元々アテロコラーゲン製の医療機器を製造する企業ですので、その強みを活かして基礎研究用のマイティーを更に改良して臨床応用をサポートするに至っています。

勢村:人体だけでなく、ペット医療など幅広い分野に研究が広がるといいですね。

AteloCell®シリーズ  

コラーゲンスポンジ ハニカム

コラーゲンスポンジ ハニカム
一定方向に密に並んだハチの巣状ポア構造により、栄養供給と老廃物の放出が容易に行われ、ポア内面全体に細胞を増殖させることができるものです。ハニカムの壁に沿って細胞が伸びていくことができるので、神経や血管などの培養、移植に適しています。また、コラゲナーゼによる細胞の回収ができるだけでなく、生分解性があるので、移植にも使用可能です。 » 詳細を見る

透過性コラーゲン膜

In vitro 実験では物質透過性により、両面に細胞を播種し細胞間相互作用を観察、再現することができます。In vivoでは膜上で培養した細胞をコラーゲン膜ごと細胞シートのように移植することができ、透明度と生体適合性の高さから、角膜移植などの実験にも適しています。 » 詳細を見る

細胞培養用コラーゲン酸性溶液 I-PC、I-AC

三次元培養用のコラーゲンゲルを作製するための溶液で、冷蔵で長期保存が可能なように酸性状態に保たれています。汎用性が高く、培養器材のコーティングやゲル内とゲル上での共培養も可能です。» 詳細を見る

細胞培養用コラーゲン ミクロスフェア

コラーゲンをビーズ状にした大量培養用担体。ビーズの表面に細胞が付着するので、表面積を増やすことで大量培養が可能となります。細胞を大量に培養する必要がある再生医療分野で、特にフィットすると考えています。» 詳細を見る

研究・開発・製造・営業でバトンが巡る

── 製品ができるまでにそれぞれのお仕事はどのように関わり、どんなご苦労があるのでしょうか。

勢村:私はそもそも実験が大好きですし、その大変さもよく理解しているので苦労と感じたことはないですね。新しい製品、アイデアを開発するための研究や実験なので、当然のこと、そこが存在意義だと思っています。開発にバトンを渡していくことが使命ですね。

佐藤:研究所で芽を出してくれたバトンが営業で「採算が取れる」と判断されたら、開発では具体的に製品化することになります。安定した製法を確立し、製造部門にバトンタッチです。さらに、求められるスペックを保証するための検査方法を確立して品質管理部にバトンタッチすることになります。

勢村:とはいっても、バトンは行ったり来たりするんですけどね。

田澤:こちらでは、開発されてきたものを既製品として淡々と作っていくことになります。あまり一喜一憂する場面はありませんが、冷静に安定した作業を続けられるよう、心がけています。

前田:新製品開発では、営業のバトンはお客様の要望や意見を集めるところから始まります。製品化された後も、また外部の声を聞きに行き社内へフィードバックするので、バトンはずっと巡り続けていますね。

新製品「3D Readyアテロコラーゲン」

これまでラインナップしてきたコラーゲン中性溶液とコラーゲン酸性溶液をさらに使いやすくした製品。コラーゲン中性溶液はコラーゲンゲルを作製する際の調製の手間が省ける製品ですが、粘性が低くゲル化の時間もかかり、混ぜた細胞が沈んでしまうこともあります。一方、コラーゲン濃度を高くするためにはコラーゲン酸性溶液を基に調製することになり、手間と熟練が必要とされていました。その手間や失敗を省けるように開発されたのが、「3D Readyアテロコラーゲン」です。

使用者の熟練度に依らず均一なコラーゲンゲル作製を実現し、安定した実験結果につながるように開発しました。コラーゲン調製に慣れていない人でも毎回おなじクオリティを簡単に出すことができます。これから三次元培養が増えていく中で、初めて取り組む方々が手軽に扱えるようにと開発されました。» 詳細を見る

研究・開発・製造・営業それぞれのやりがいを感じる瞬間

── バトンを回しながら、研究用アテロコラーゲンを世に出しておられるわけですが、やりがいを感じられるのはどんな時でしょうか。

勢村:学会に参加した時に、発表や名刺交換の場でユーザーから「あ、高研さんですね!」「これ、使っています」と声をかけていただくことがあります。市場に出た後に直接、製品の反応に触れることは少ないので、そういった場で評価や要望を聞かせていただくと嬉しいですね。成果が巡っていて、次につなげていこうと実感します。

佐藤:長い間、社内で困っていた案件の原因をつきとめて、自分が解決できた時はよかった、やった!と思います。僕は製法や検査方法を確立できた時が、いちばんやりがいを感じますね。

前田:自分が提案したものが製品開発や、継続購入につながった時が嬉しいですね。また、これからの夢のようなものですが、ゲノム編集の現場でもアテロコラーゲンが使われるといいな、と思います。「AteloGene®」はマウスの個体にsiRNAやmiRNAを導入するトランスフェクション試薬ですし、生体で取り組む研究があれば、とてもフィットするのではないかと思います。

AteloGene®

核酸と混合することで複合体を形成し、核酸を分解から保護できる in vivo トランスフェクション(核酸導入)試薬。「局所投与用 Local Use “Quick Gelation”」では、投与部位でゲルを形成させ、核酸を徐放することができます。ゲルを作らず全身に送達する「全身投与用 Systemic Use」もあります。いずれも核酸分解酵素による核酸の分解を防ぐことができ、核酸の投与回数を減らすことが可能です。» 詳細を見る
核酸医薬開発の世界での進展


田澤:
新製品の最初の出荷の時は、ホッとする瞬間ですね。皆が何年もかけてつくってきたものを自分たちが引き継いで、今日初めてトラックで運ばれていく…という時は、「やっとできた!」と安堵する、何度味わっても良い瞬間です。

新たな研究・開発のために大学や企業とコラボレーションを進めたい

── 一点物の試作に応える一方で、大学や企業との共同研究やサンプル供与も多くありますね。

前田:弊社では有償での試作にも対応していますが、外部と連携して研究・開発をしていきたいとも考えています。過去に製造経験のあるものと類似の試作品であれば問題ないのですが、まったく新しい、経験のないものを試作する場合には、どれだけの時間がかかってしまうのか、また実現可能なのかも不明なまま有償試作をお受けすることが憚られます。一方、一般的に大学とはサンプル供与契約を締結して今までに経験のない試作品を作ることが多いのですが、企業では契約の条件に含まれる成果の共有は避けたいとの声も多くあります。もちろん、先方にも契約しづらい事情はあるのですが、それで試作の話が進まないことが多くてもったいないと思っていました。
そこで、2019年より契約より前段階の「確認書」というものを作りました。「確認書」を交わすことで試作品を作製した後、評価をいただくところまでが可能となります。その過程があると、その後の販売や共同研究につながっていくハードルを下げることができるんですね。

佐藤:これまで作ったことがないものが突然やってくるので、なかなか大変ではあるのですが(笑)。大きな企業との仕事では、これまで見たこともないような条件があったり、新しいものができていくわけですから、とても刺激になります。

前田:お互いが柔軟にコラボレーションできるよう、間口を広げていけると考えています。そこで、さらに新しい研究や開発に貢献できれば、と思いますね。

今後の展望/まとめ

医療用コラーゲン製品を30年以上作り続けてきた高研。研究用試薬ではニッチな存在とされてきたが、医療用と同じ原料のクオリティと加工のノウハウで、基礎研究から臨床応用までの一貫した流れで顧客を支援できる。これからの再生医療や遺伝子治療といった新しい分野の発展に頼もしい支えとなるだろう。

関連製品

関連記事